こんな問題はありませんか?
この記事では
- 引継書の書き方
- わかりやすくまとめるコツ
- 後任者に喜ばれる引継書を書くコツ
をわかりやすく解説します
この記事を書いたわたしは、金融機関勤務の30代の女性です。5回以上の部署異動と担当業務の変更で引継書を10回以上作成してきました。他者が作成した業務引継書をもらい仕事を引き継ぐため、業務引継書を目にする機会が多く、その経験からわかりやすい引継書の作成方法を解説します。
わたしが後任者だったら、もらったら嬉しい! 後任者に喜ばれる追加資料も紹介します。
はじめに:業務引継書とは?
業務引継書とは?
業務引継書とは、あなたが担当していた業務の内容を後任者に引き継ぐときに作成する資料のことです。作成するタイミングは、部署異動や長期休暇、退職、昇進などです。
書き方やフォーマットは?
業務引継書を正式な書類として保管している会社もあれば、担当者同士で任意で作成する場合もあるでしょう。フォーマットが決まっている場合もありますが、業務内容は担当者によって様々なので業務内容に合わせたフォーマットは準備されていなことが多いでしょう。
特定の職種や担当業務については引継事項が具体的に決められていることもあるので、上司や先輩などに確認してみましょう。
業務引継書を作成する理由
担当者が変わってもスムーズに業務を行えるように作成するのが「業務引継書」です。
「業務引継書」には後任者が業務を行う上で最低限困らない程度の内容を記載しておけば、引継にかかる時間を短縮できます。
配置換えなどの理由での離職は異動先にも問い合わせの電話がかかってくることがあります。その対応に追われていては、新しい部署の仕事に集中できません。
また、トラブルが発生した場合、要らぬ火の粉を被らないためにも業務引継書にしっかりと記録を残しておくことが重要です。
このように、引継者のあなたにも後任者にも重要な資料なのでしっかりとポイントを押さえて作成しましょう。
業務引継書の書き方
業種や職種によって異なりますが、業務引継書に書く代表的な項目は以下の通りです。
- 担当業務の名称と内容
- 具体的な業務の進め方
- 取引先や関係部署
- 関係書類等の保管場所
- 未処理案件
- 懸念案件
業種や職種、役職によって引き継ぐことは様々です。
引継書に書べき項目
担当業務の名称と内容
担当業務の名称と内容は一番に書く内容です。あなたが何の仕事を担当していたのかを明確にするためです。おおまかな業務と概要を書きます。
具体的な業務の進め方
具体的な業務の進め方は、職場で共通の手順書やマニュアルがある場合を除き書くようにします。
担当業務の名称と内容のみで伝わるのであれば具体的な業務の進め方は省略しても問題ないこともありますが、後任者があなたの仕事を理解していない場合もあるし部署ごとに独自の事務処理をしている場合もあります。また、新入職員に一部の仕事を任せることもあるでしょう。
無用のトラブルを防止するためにも具体的な業務の進め方は書いておきましょう。相手がある程度内容を理解している場合は、箇条書きや簡単な表の作成のみでも構いません。
取引先や関係部署
業務を進める上で一番重要なのが、取引先や関係部署の情報です。
業務の内容は過去の資料などを見れば大体わかることが多いですが、取引先とのやり取りやトラブル発生時の対処として関係部署や担当者がわからないと解決に時間がかかってしまいます。
業務のことはわかっても、個別の取引先との状況は担当者同士でしかわからない情報も多いためなるべく多くの情報が欲しいところです。
関係書類等の保管場所
必要な書類やデータがあるのに、どこに保管してあるかわかないこと多々ありますよね。探すのに時間がかかってしまっては大事な時間がいくらあっても足りません。
保管場所は引継時に口頭で伝えるだけでなく、実際に保管場所を見せるのはもちろん、保管場所のリストを作成しておくと後任者は助かるはずです。
未処理案件
未処理案件は引継書でも重要な部分です。あなたの担当している仕事を途中から引き継ぐ後任者にわかりやすい形でバトンタッチできるように未処理案件はどのような仕事でどこまでできているかを明確にしておきます。
未処理案件は引継書には書かずに別に渡すケースもあるかと思いますが、いずれにしても後任者にわかるように整理して渡すのがマナーです。
懸念案件
過去に苦情になった案件や顧客、業務の内容など「特に注意しておいてほしい個別の案件」を引き継ぎます。絶対に忘れてはいけない注意事項ですので、しっかりと引継を行います。
トラブルの経緯や再発防止策、対応策などを引き継ぎしましょう。未解決のトラブルや心配事もこの項目です。いずれにしても今後大きな問題にならないように引き継ぎすべき内容なので、抜け漏れのないように引き継ぎしましょう。
職種別:引継ぐべき項目
職種別に重点を置いて引継ぐべき項目が変わってきます。あなたの担当している業務はどの項目が重要かを考えながら引継書を書くと後任者にも喜ばれる、わかりやすい内容になります。
事務職
事務職は細かな仕事が多いため月のサイクルが早いのが特徴。経費精算方法、商品や備品の発注先や頻度、担当者の氏名などを引き継ぎします。具体的な手順書やマニュアルがあればそれも合わせて引き継ぎます。
事務職の場合はミスの起きやすい仕事やイレギュラー時の対応はある程度想定できるはずです。業務を進める上でのポイントや注意点を引継書に書いておくと良いでしょう。
事務職の場合は、毎日やることと月単位でやることがある程度決まっているので自分用の「やることリスト」を作っておけば急な異動にも慌てることがありません。
営業職
営業職は取引先とその状況、過去のデータやトラブルになったこと、情報の共有方法などを中心的に引継をします。経費精算方法など事務処理もしっかりと引継書に書きましょう。
同じ営業職同士の担当変えなど、細かな引継は必要ない場合でも、挨拶回りに夢中になって頭から抜けてしまうこともあるので1ヶ月のスケジュールなどにまとめて引き継ぐと良いでしょう。
また、引継時だけでなくスケジュールは週単位や月単位にまとめておくと抜け漏れがなくなります。取引先とのやり取りの合間の細切れの時間に事務処理を行うと時間を上手く使えます。
日頃からやるべきことをリスト化する工夫をしておきましょう。
管理職
管理職の場合は、職員の労務管理や評価、人間関係なども管理の対象となります。引継書に書くのがはばかれる内容も多くあるため紙ベースではなくパスワード付きのデータで残すなどの方法も検討します。
ただ、人間関係についてはプライバシーのこともあるのでどこまで引き継いでいいのかは迷うところ。過去に起きたミスに対する再発防止策などがあれば必ず引き継ぐようにします。
ミスが起こる原因のほとんどは「そもそも知らなかった」か「知っていたがうっかりしてしまった」のどちらかです。さらに、繁忙期や担当者不在が重なることでミスが起きてしまいます。同じミスでも管理職の方が責任を負うのは当然のことなので、ミスやトラブルを少しでも減らすように引継もしっかりと行いたいものです。
わかりやすくまとめるコツ
わかりやすい引継書を書くコツを紹介します。
頻度で分ける
担当業務を思いつくまま引継書に書いてしまっては、わかりにくいセンスのない引継書になってしまいます。そこでおすすめなのは、その業務の頻度で分類して記載する方法です。
さらに、毎日、毎月やることでも時系列で書くとよりわかりやすくなります。
具体的には、
- 毎日の流れ
- 1週間の流れ
- 1ヶ月の流れ
- 1年間の流れ
の順番でそれぞれ簡潔に記載します。
表やリストにする
引継書が決まったテンプレートがあまりありません。引継書の表紙にする様式が設定されている企業はあると思いますが、引継する項目を具体的に引継ぐためのテンプレートって少ないんです。
そこでおすすめなのが、引継事項を表やリストを作成する方法です。あなたの仕事をリストや表を作成してテンプレート化すると、抜け漏れもなくわかりやすい引継書ができます。
取引先の引継をする場合、
- 顧客名
- 連絡先
- 担当者名
- 留意事項
といったところを表にしていきます。
事務職で経費の精算を例にすると、
- 種類(電気、電話、仕入代金など)
- 勘定科目(水道光熱費、通信費、仕入など)
- 支払い方法(現金、口座引き落とし、振込先など)
- 支払期日
- 注意事項等
このような表にするとわかりやすいだけでなく、引継事項の抜け漏れがなくなります。
営業の場合でも、いくつかの項目を設定して埋めていく形をとると後任者に伝えるべきことを網羅できるのでおすすめの方法です。一度テンプレートを作ってしまえば、異動のたびに引継書の作成に大量の時間を費やすこともなくなります。
わたしは、仕事の引継書をテンプレート化して自分用の備忘録としても活用しています。
誰が見てもわかるように書く
引継書は誰が見てもわかるように書くべきです。
その理由は、前任者であるあなたと後任者である相手だけでなく上司も見るからです。また、後任者から別の人に仕事を引き継ぐ可能性もあります。誰が見てもわかるように書くことでわかりやすい引継書が完成します。
とはいえ、新入職員とベテラン職員に引継ぐのでは内容が変わってくるのは当然です。その書類を見ただけでその仕事ができるレベルで書く必要はありません。それは「手順書」や「マニュアル」と呼ぶため「業務引継書」とは別と考えてください。
後任者があなたの業務の知識が全くない場合は、「詳しくは別のマニュアルを参照」「手順書は〇〇に保管」としておきます。必要であれば紙ベースで引継書と別に資料を渡しましょう。
抜け漏れがないように書く
あなたの仕事とはいえないような小さな作業でも、実は重要な場合があります。
例えば、コピー紙の補充や注文先、植木の水やりなどです。
それが仕事? と、思う人もいるかもしれませんが通常業務とは別にその他の引継ぎ事項として記入しておくことがおすすめです。引継書に記入するのはちょっと…、という場合は口頭で引継ぎしましょう。
わたしも実際に、コピー紙の注文先がわからずあたふたしたことがあります。全員が発注先を知っていれば問題なかったのですが、職場に知っている人が誰もいなかったのです。
コピー紙の発注なんて担当すら決まっていない「名もなき家事」ならず「名もなき仕事」だったのですが、前任者がいなくなることで誰も発注せず在庫がなくなってしまったのです。
担当ではないけど率先してやってくれていた仕事だと知っていれば他の職員にも〇〇さんがいつも頼んでくれていたらしいよ、と言うことが出来たのになぁと思っています。
後任者に喜ばれる引継書を書くコツ
わかりやすい引継書を書くコツを紹介しましたが、時間に余裕があれば後任者に喜ばれるような引継書を意識して書いてみましょう。
引継書を見るだけでその人のレベルがわかります。引継書をしっかり書ける人は100%の確率で仕事ができる人です。後任者に喜ばれる引継書は、あなたの評価を上げるといっても過言ではありません。
後任者のレベルに合わせて書く
部署異動や担当変えの場合、後任者が決まってから引継をすることがほとんどです。後任者があなたの担当業務をどの程度理解しているかを確認しておきましょう。
後任者のレベルに合わせて省略できる項目や、必要としている情報を把握した上で引継書を作成します。基本的な項目は誰が後任でも変わりありませんが、プラスアルファの情報は後任者に合わせて作成できる項目です。
マニュアルや手順書の参照先も書く
マニュアルや手順書がある場合は、業務の内容は詳しく引き継ぎしないこともあるはず。
その場合は、マニュアルや手順書の保管先を記載しておくと後任者は喜ばれます。特に慣れない仕事をする前には、手順を確認しながら行いたいもの。保管先がわかっていれば事前に準備するのもスムーズに行えるため効率よく作業が出来ます。
マニュアルや手順書、参考資料の保管先は記載しておき、必要に応じて資料を添付しておくと後任者に喜ばれます。重要な資料は印刷して引継書に添付しておけば安心ですね。
自分が困ったことを思い出しながら書く
あなたはこんな経験はありませんか? どうやって仕事を進めたらいいのかわからなくなってしまったこと。そう、あなたが困ったことは引継書に書くべきです。
あなたが苦労してたどり着いた仕事のノウハウまで後任者に簡単に引継ぐのは嫌だと思うかもしれませが、あなたがつまずいたことは後任者も必ずつまずくので引継書に書くべきことなのです。
でも、安心してください。引継書に書いたからといって、あなたの苦労やノウハウが後任者の手柄になることはありません。むしろ引継書に書くことでそのノウハウはあなたの功績だと証明しているようなものです。
最後に
業務引継書の基本的な書き方とわかりやすくまとめるコツを紹介しましたがいかがだったでしょうか。
業務引継書を作成する際のポイントは、
- 頻度で分けて時系列で書く
- 表やリスト化して書く
- 誰が見てもわかるように書く
- 自分か困ったことは何か考えて書く
ということでした。
この記事は以上です。業務引継書を作成する際のヒントになったら嬉しいです。